~なぜリトルナイトメア3は開発会社が変わったのか、そして元スタジオの新作『REANIMAL』とは~
どうも、ニックです。
“怖いのに美しい”世界観で人気のホラーアドベンチャー『リトルナイトメア』シリーズ。
じつはリトルナイトメア3作目の開発会社は、リトルナイトメア1・2と違うんです。
「えっ、そうなの!?」と思う人もいるはず。
そしてリトルナイトメア1・2を遊んできた人ほど、リトルナイトメア3をプレイしてみて“あれ?”と違和感を覚えたのではないでしょうか。正直、私もその一人です。(3のプレイ感想は、また別記事で語ることにします。)
リトルナイトメアシリーズの2025年10月21日現在のメタスコアについて下記にまとめてみました。
| タイトル | 発売年 | PlayStation(Metascore) | PC(Metascore) |
|---|---|---|---|
| Little Nightmares | 2017年 | 78点(PS4版) | 81点 |
| Little Nightmares Ⅱ | 2021年 | 82点(PS4版) | 82点 |
| Little Nightmares Ⅲ | 2025年 | 71点(PS5版) | 68点 |
このように、実際に新作『リトルナイトメア3』と過去作を比較すると新作は苦戦をしていることが分かります。
ではなぜ、『リトルナイトメア1・2』と『リトルナイトメア3』で開発スタジオが変わったのか。
掘り下げてみると、ちゃんとした理由がありました。
今回はその経緯をわかりやすく整理し、元開発スタジオの新作『REANIMAL』まで徹底解説します。
『リトルナイトメア』を作ったのはどこ?
まず整理しておきたいのが、リトルナイトメアシリーズの生みの親です。
『リトルナイトメア』(2017年)と『リトルナイトメア2』(2021年)を開発したのは、スウェーデンのTarsier Studios(ターシアスタジオ)。
リトルナイトメア1・2の制作を行ったTarsierは、もともと『Hunger(ハンガー)』という小規模な自主開発プロジェクトを進めており、“子どもの視点で感じる恐怖”というテーマを掲げていました。
Hunger(ハンガー)のコンセプトに目をつけたのが、販売元でありシリーズIPを所有するバンダイナムコエンターテインメント。
同社がパブリッシャーとして参入し、タイトルは『Little Nightmares』へと改題され、そこから世界中で人気シリーズへと成長していったんです。
つまり関係としてはこう👇
🎮 Tarsierがリトルナイトメアの元となる作品を作り、バンダイナムコが世に広めた。
この二者の協業こそが、シリーズ誕生のきっかけです。
なぜ『リトルナイトメア3』の開発スタジオが変わったのか?
ここからが本題です。
今回『リトルナイトメア3』の開発を担当しているのは、『リトルナイトメア1・2』を制作したTarsier Studiosではなく、イギリスのSupermassive Games(スーパーマッシブゲームズ)という開発会社です。
リトルナイトメア3の制作を行ったSupermassive Gamesは、「Until Dawn」や「The Dark Pictures」など、ホラーとストーリーテリングに強いスタジオですね。
では、なぜリトルナイトメアシリーズは突然開発会社が変わったのか?
その背景には3つの大きな理由があります。
① Tarsierが“リトルナイトメアシリーズの卒業”を決めたから
Tarsierは2021年、『リトルナイトメア2』の開発を終えたあと、「これでリトルナイトメアシリーズから離れる」と公言しています。
2019年にTarsierはEmbracer Group(スウェーデンの大手グループ)に買収されており、スタジオの方針が「他社IPの開発」よりも「自社オリジナルIPの創出」にシフトしたことが背景にあると考えられます。
スウェーデンの Tarsier Studios は今後、
『リトルナイトメア』シリーズではなく新規IPの開発に注力する方針を示した。親会社である Embracer Group の第3四半期決算報告にて、CEOの Lars Wingefors 氏が次のように説明している。
出典:『リトルナイトメア2』は目標を上回る成功を収めたが、IP(知的財産権)はバンダイナムコが保有しており、弊社(Embracer)にとってはロイヤリティ収益以外に大きな商業的影響はない。
Tarsierを買収した目的は、新規IPを開発してもらうことにある。
IGN Japan「『リトルナイトメア』IPはバンダイナムコが保有、Tarsier Studiosは今後“新規IPの開発に集中”」(2021年2月)
https://jp.ign.com/little-nightmares-2/50222/news/ip-2tarsier-studios
IGN Japanの記事では、Embracer Group CEOのWingefors氏が「シリーズの終了」と明言は避けたものの、バンダイナムコがIPを所有している点とTarsierが今後は自社IP開発に専念するという発言から、『リトルナイトメア』シリーズの開発からTarsierが事実上離脱することが示唆されたと結論づけています。
つまり「自分たちの次の作品を生み出したい」という意欲が強く、シリーズ卒業は自然な流れだったわけです。
②リトルナイトメアの IP(知的財産)はバンダイナムコが持っている
先ほども少し触れてしまいましたが、ここが意外と知られていないポイント。
『リトルナイトメア』というシリーズの権利(IP)はバンダイナムコが所有しています。
Tarsierは“開発者”として関わっていましたが、ブランドそのものはバンダイナムコのもの。
そのため、Tarsierが抜けてもバンダイナムコは別のスタジオを立ててシリーズを続けることができるんです。
③ リトルナイトメアの次のステップとして“協力プレイ”を導入するため
リトルナイトメア3では、シリーズ初となる協力プレイ(Co-op)が導入されます。
これまで一人の子ども視点だった世界に、二人で進む体験が加わる。
この新しいシステムを形にするうえで、“マルチプレイ型ホラー”の経験が豊富なSupermassive Gamesが選ばれたと考えられます。
Supermassiveは『Until Dawn』『The Quarry』など、プレイヤー同士の選択やストーリー分岐を巧みに扱うスタジオ。バンダイナムコにとっては、次の開発を託すにはうってつけの相手だったわけです。
Supermassive Gamesは『Little Nightmares II: Enhanced Edition』というリトルナイトメア2のPS5、Xbox Series X|S、PC向けリマスター版についても開発を担当しています。
開発元交代の裏側にある構造:契約・戦略・技術の三重構造
少し踏み込むと、『リトルナイトメア』シリーズの開発スタジオ交代には3つの層が絡んでいます。
| 層 | 内容 | 具体的な動き |
|---|---|---|
| 契約面 | IP所有はバンダイナムコ、開発はTarsier | 権利を持つ側が続編を委託可能 |
| 経営面 | TarsierがEmbracer Group傘下へ | 自社IP開発へ方針転換 |
| 技術面 | リトルナイトメア3で協力プレイ導入 | マルチプレイに強いSupermassiveが起用 |
つまり、「契約的にも可能」「経営的にも合理的」「技術的にも適任」という三拍子そろった判断だったと言えます。
開発元変更でリトルナイトメアシリーズはどう変わった?
ファンの間では発売前に開発会社変更により「雰囲気が変わってしまうのでは?」という声もありました。
たしかに、今までのリトルナイトメアシリーズを制作していたTarsier特有の恐怖の表現は唯一無二でした。
ただ、今回制作を担当したSupermassiveもまたホラー演出の名手。
しかもバンダイナムコは「世界観を守りながら、新しい挑戦をする」と明言していました。
実際、雰囲気は今までのリトルナイトメアの世界観を踏襲出来ていたのではと3をプレイして感じています。
そして『リトルナイトメア I・II』を手がけたTarsierは新作『REANIMAL』へ
リトルナイトメアシリーズを離れた Tarsier Studios が次に制作に挑むのは、完全新作ホラーアドベンチャー『REANIMAL(リアニマル)』 です。
リアニマルの発売時期は 2026年初頭(Q1 2026)予定で、対応機種は Nintendo Switch2 / PlayStation5 / Xbox Series X|S / Steam となることが発表されています。
物語は、兄妹が「地獄のような島」から仲間を救い出しながら脱出を目指すという内容で、ゲームは シングルプレイのほか、ローカル/オンライン協力プレイにも対応するとのこと。
ニック.B.フェイスリトルナイトメア3で求めていたローカル協力プレイが実現、、、。
クロスプレイは対応するのかな?


環境描写と心理的恐怖を重ねた世界観が特徴で、
暗闇の中で小さな存在が巨大な脅威に立ち向かう――
そんな構図はまさに『リトルナイトメア』のDNAを感じさせます。
ファンや海外メディアの間でも、“Little Nightmares の精神的続編(spiritual successor)”と評されることもあり、映像や設定からもその系譜を感じ取れます。
まとめ:開発元は変わっても、“子供のころの悪夢”は続く
今回のリトルナイトメア開発会社変更をまとめると、こうなります。
| タイトル | 開発元 | 販売元 |
|---|---|---|
| リトルナイトメア | Tarsier Studios | Bandai Namco |
| リトルナイトメア2 | Tarsier Studios | Bandai Namco |
| リトルナイトメア3 | Supermassive Games | Bandai Namco |
| リアニマル | Tarsier Studios | THQ Nordic GmbH(Embracer Group) |
リトルナイトメア1・2を手がけたTarsier Studiosは新たな恐怖を生み出すために前へ進み、バンダイナムコはその魂を受け継いで新たな開発会社Supermassive Gamesとともにリトルナイトメアシリーズを続けていく。どちらも今後の展開から目が離せません👀
続報が入り次第、このブログでもまた語っていきたいと思います。



