ローランドがAIアシストメロディー生成ソフト『Melody Flip』を発表
ローランド株式会社は、AI技術を活用した新しいメロディー生成ソフトウェア『Melody Flip』の発表を行いました。このソフトウェアは、ソニーコンピュータサイエンス研究所の長年にわたる研究成果を取り入れ、クリエイターの創造性を拡張する新たな音楽制作体験の実現を目指します。音楽制作におけるAIの役割を「人間の創造性のパートナー」と位置づけるローランドの思想が具現化されています。
クリエイターのメロディー制作を支援する『Melody Flip』の主な機能
『Melody Flip』は、オーディオ化された楽曲ファイルを読み込むことで、その曲の構造、BPM(一分間の拍数、テンポ)、調(キー)、コード進行、ジャンル、ムードなどをAIが解析します。この解析結果と約300種類に及ぶ「パレット」(メロディー、コード、ベース、ドラムの4つのパートデータで構成されるパターン)を組み合わせることで、オリジナリティあふれるメロディーのアイデアを生成し、クリエイターに提案します。
生成されたアイデアはあくまで「提案」であり、クリエイターはそこからインスピレーションを得て、自由に選択、編集、再構築することが可能です。また、macOS/Windowsに対応し、主要なDAW(音楽制作ソフトウェア)上でプラグインとして動作します。生成されたメロディーに加え、コード、ベース、ドラムの各パートをAudio/MIDIの両形式で書き出しできるため、アイデア出しから本格的な楽曲制作へとスムーズに移行できます。
ソニーCSLの技術とローランドのノウハウが融合
『Melody Flip』には、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)の作曲支援研究に基づく技術が活かされています。特に、楽曲から音楽的特徴を抽出し、その曲に似たお薦めのパレットを表示する機能には、音楽情報探索(MIR: Music Information Retrieval)分野で培われた研究知見が用いられています。これにより、読み込んだ楽曲の構成やキーを視覚的に把握し、制作効率を高めるサポートとなります。
ローランドは、長年電子楽器の開発で培ってきた「音楽的な表現性」「使い勝手の良さ」「簡単操作」といったノウハウを本ソフトウェアに投入しています。これにより、音楽制作の経験はあるものの「メロディーづくりが苦手」な方や、「ビートメイクは得意だが楽典の知識は乏しい」といった悩みを抱えるクリエイターに対し、新しいメロディーとの出会いを提供し、音楽制作の可能性を大きく広げることが期待されます。



AI時代における音楽制作の新たな共創関係
ローランドは、AIを含むテクノロジーが音楽創造の主役になるのではなく、クリエイターの意思と感性を中心に据え、共創関係を築くことが重要であるという思想を持っています。『Melody Flip』はこの思想を具現化したソフトウェアです。AIを音楽制作の代替手段ではなく、人間の創造性を拡張し、共存しながら活用する存在と捉えています。
本ソフトウェアは、2026年5月に公開予定で、ローランドのクラウドサービス「Roland Cloud」の登録者は無料で利用できます。Roland Cloudは、音楽制作用のプラグイン音源やサービスの提供から始まり、幅広いカテゴリーの楽器で音楽を楽しめるコンテンツを拡充中のサービスです。
Roland Cloudの詳細はこちらで確認できます。
また、ローランドは2024年にユニバーサル ミュージック グループ(UMG)と共同で「AIによる音楽創造のための原則」を発表しており、AI活用の取り組みにおいても、人間の創造性を高める責任ある開発を目指しています。
「AIによる音楽創造のための原則」の詳細は以下のサイトで確認できます。

『Melody Flip』が切り拓く音楽制作の未来
『Melody Flip』は、AIを音楽制作のパートナーとして活用し、クリエイターの感性と個性を尊重しながら、新たなメロディーの発見を促す革新的なソフトウェアです。ソニーCSLの先進的なAI研究とローランドの長年の音楽制作ノウハウが融合することで、音楽制作の経験や楽典知識の有無にかかわらず、誰もがより自由に、より深く音楽表現を探求できる環境が提供されます。このソフトウェアは、AIと人間が共存し、創造性を高め合う次世代の音楽制作のあり方を提示するものであり、今後の音楽文化の発展に大きく貢献する可能性を秘めています。
とあるアパート編集部より
ローランドが発表した『Melody Flip』は、AI技術を単なる代替ではなく、クリエイターのインスピレーションを刺激するパートナーとして位置づけている点が非常に興味深いです。メロディー制作に苦手意識を持つ方にとって、新しいアイデアの扉を開く画期的なツールとなるでしょう。ソニーCSLとの共同開発という点も、その技術的な信頼性を裏付けています。今後の音楽制作の現場にどのような変革をもたらすのか、期待が高まります。


